メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第369回 ZELJKO BEBEK – “…Skoro Da Smo Isti”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

ZELJKO BEBEK – “…Skoro Da Smo Isti”
1978 YUGOSLAVIA JUGOTON LSY-68047
(Heavy Progressive Rock)

RARE度:★★★★

Member :
Zeljko Bebek(b,vo), Neven Pocmic(key),
Dragon Didti Jankelic(ds), Eduard Mihael Bogelic(g)

Side (A)
1. Skoro Da Smo Isti
2. I Tako To Ostaje
3. Podijum

Side (B)
1. Srušeni Zidovi
2. Upitaj Sebe
3. U Tišini
a. Reminiscencija
b. Epilog

ユーゴスラヴィアを代表するロック・グループ、BIJELO DUGME、ご存じですか?

ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のグループで、1974年にデビュー、数々の名作ロック・アルバムを発表しています。 ジャケがちょいエッチ(既に死語か)でドキドキ(これもか)なのが多く、その手のファン(?)にも有名かもしれませんが、まあそれはさておき、内容はどれもすごいものがあります。

このアルバムは、そのBIJELO DUGMEのヴォーカリストが1978年に発表したソロ・アルバムです。

ふつう名ロック・グループのソロ・アルバムというのは、名選手が名監督にならない長嶋茂雄のようなもので、在籍グループを超える作品にはならないのが世の常ですが、この作品は良い意味で期待を裏切ってくれます。BIJELO DUGMEのよりももっとプログレッシヴで叙情的な部分も多く、オトナ(カタカナ・・)はこっちかもです。

西側以外の国の70年代ロックって、単調な8ビートを連発しすぎなものが多く、調子に乗って食べ過ぎてもう二度と食えないインスタント食品のような側面もありますが(ちなみに私はボ〇カレーはもう無理です。)これは違います。

ハードロックと言っても全体的にミドルテンポでめちゃめちゃ激しい訳でもないのですが、曲やアルバム構成もがどれもよく練られていてます。オルガンも気持ちよく、ギターもエレキあり、アコースティックあり、時にはストリングスまでも導入。ドラムスも適度に湿り気のある柔らかさで、聴き疲れしません。まさしくアナログの味でもあります。

そしてなんといってもそのど真ん中を突き抜けるヴォーカルが、何よりもかっこいいです!

78年にして、楽器はどれも古めかしい音。もしかしたら最近の大学の軽音(これも死語か)の連中の方がよっぽどいい楽器で演奏しているかもしれません。でもこういう古い楽器の音ってなんとも言えない魅力があっていいですよね~。バニラ・ファッジが好きってあの感じ。70年代ロックが好きな人には棚収納&ヘヴィー・ローテ必至の一枚です。

ところでみなさんは英語以外のロックってどうですか?

その昔、初めてイタリア語でロックを聴いた時には、きしめんのようなスパゲティ(フェットチーネです・・)を初めて食べたときのような、頭蓋骨をハンマーで殴られたかのごとき(死にますね)新鮮な衝撃を覚えたもんです。

このアルバムも同様に、英語じゃないので、もうグループ名からして読めないのですが、そんな不思議な語感で歌い上げる感じが違和感サイコー! 最近はレコードをそのタイトルやアーチスト名を正確に発音できないこういうアイテムでも購入できるので良い時代になりました。昔私は店頭で「フォーミュラースリー」やったことあります。(・・といいながら、今回のこの人の名前、私はいまだに読めないですが。)

さて内容ですが、曲はどれも凝っています。A面もゆるやかに重くならず軽すぎず、かといってオトナ過ぎずに流れていき、捨て曲なし。 そしてB面になるとさらにだんだんよくなっていく感じで、B-2なんかは非常に摩訶不思議な展開。 鳴門海峡の渦にバッジー(BUDGIE)が吸い込まれていくようなめくるめくサビ、この感じがたまりません。 長年ロック聴いてきた人も思わず箸を落としてしまうような展開ではないでしょうか?

のっけからのタテのりのピアノで迫る、このアルバムのラストを飾るB面のラスト(あたりまえか)も圧巻です。大海原の波に揺られているような、大きく叙情的なリフに導かれ、せつせつと歌い上げてくれます。ストリングスの巻きつきも抜群ですね。突然のリズム・チェンジも最高です。

そして再びアルバムの出だしの効果音、街の喧騒に戻ってきてドラマは幕を閉じるのです。

ジャケットもシンプルながらも印象的でユニークでイカしています。裏ジャケの真ん中に映っている方が、不祥事を起こしたて記者会見するときの企業トップが放心状態になっているかのような、うつろな表情をしているのが気になるところで、他のメンバーはそれなりなのに、原稿の段階ではチェックしなかったんでしょうかね?

そんなことはさておき、こういう埋もれた逸品を楽しめる喜びを糧に、年度末にいざ!

(2016.03.02)

こちらのレコード在庫にあります!

5002577 ZELJKO BEBEK/…Skoro Da Smo Isti 14,280円(税別)

詳細は→ http://bit.ly/1oY4mc5

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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第368回 MONICA TORNELL – “Ingica”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

MONICA TORNELL – “Ingaca”
1972 SWEDEN-PHILIPS 6316 017
(Progressive folk)

RARE度:★★★★

Member :

Monica Tornell(vo), Stefan Brolund (b), Jan Bandel(ds, voblafon),
Jan Schaffer(g), Björn J:son Lindh (key, moog), Anders Henriksson(moog)

Side (A)
1. Faster Fantasis Visa
2. Förut (När Jag Var Liten) (I Really Loved Harold)
3. 15:e November
4. Lille Carl (Vagvisa)
5. Var Nära Mig
6. Barkbrödslåten

Side (B)
1. Avstånd Till Min Käraste
2. Näckaspel
3. Vardag
4. Kom Slå Dig Ner (Come To My Bedside, My Darling)
5. Telegram För En Bombad By
6. När Jag Var Ung (Wind Up)

スウェーデンはフィリップスからの知られざる1枚です。

70年代後期時はラテン・ジャズシンガーとしても活躍が知られ、90年代にまで活躍するスウェーデンの女性シンガー・ソング・ライター、モニカ・トルネル(MONICA TORNELL)のこちらがデビューアルバムになります。

70年代にスウェーデンのレストラン等で歌っていたところを見いだされ、72年に本作でデビューしたそうですが、デビューアルバムにして、ギターにヤンネ・シェーファー、キーボードにはビヨルン・イーソンが参加という布陣に、ジャケットの雰囲気も素晴らしく、レーベルのフィリップスがいかに力をいれていたのか、その実力もうかがい知ることができるアルバムです。

その内容も、まず針を落とした瞬間、ムーグっぽい音で始まるので一瞬冷や汗が出るのですが、これは出だしだけ。第一声の歌声が聞こえるともう何も心配することがなくなります。素晴らしい歌声です。凝ったリズムではないのに、北欧的と言いますか、ハイカラ(HAIKARA)なんかで聴かれるような不思議な進行です。

つづくA-2で、ぶったまげます(!?)。こんなすごい曲が北欧の廃盤の中に眠っているとは・・。どういったらいいかわかりませんが、魂の歌声とでもいうんでしょうか。 天上の歌声、というのとは違う世界なんですが、スウエーデン語であることも新鮮ですが、力強く、清廉で鬼気迫るように歌い上げる様はまさに圧巻。本当に鳥肌がたちます。 女性ヴォーカルでこれだけの鳥肌をたたさせてくれるのはアイセア(HAIZEA)のアマイア・ズビリア(AMAIA ZUBIRIA)くらいかと思っていましたが、ここにもいました。万人受けしないであろう、そんな1曲です。

しかも、彼女のシンギングは決して一辺倒ではなく、曲によって艶っぽくしっとりと、ささやくように、また少しジャジーであったりと曲によって多彩な表情を見せてくれます。B-2ではアカペラも披露しその実力の程もいかんなく発揮。もう何年も何年もミュージック・シーンで歌ってきたような実力を感じるのですが、改めて申し上げますと、これがデビュー・アルバム。おそらく18歳。とんでもないです。

ジェダイの覚醒ではハン・ソロも戻ってくるそうですが、かつてハリソン・フォードが自身の経歴からスター・ウォーズを封印していたように、彼女も後の活躍ゆえ、このアルバムを封印していたのかと思いたくなるほど、手つかずのアルバムだったのではないかと思いますね。ジャケに映る昔の自分のポッチャリ体系がイヤだったのか…。(コラコラ)

全体的にはフォーク・ロア調でまとめられたアルバムではあるのですが、上述のアマイア・ズビリアの他、スペインのマリア・デル・マル・ボネット、デンマークにはサベージ・ローズのアニセッテ・コッペル、フランスはサンドローズのローズ・ローレンス、、、70年代のフォーク、プログレシーンで名盤を残した女性シンガーの作品に比肩する内容だと思います。北欧らしい澄んだ空気感も含みオリジナリティもあるまさに名盤。もっと評価されるべき一枚です。

そしてB面の最後にはロック調の展開をする曲でまた驚かされて、いると最後はしっとりとまとめてくれて、サンキューと拍手で立ち上がってしまう事でしょう!?

2015年もあとわずか。このアルバムのようにしっとり締めくくりたいものですが…。

本年もお付き合い頂き、大変ありがとうございました!2016年もガンガン参りますので引き続きよろしくお願い致します。

(2015.12.28)

こちらのレコード在庫にあります!

4920047 MONICA TORNELL/Ingica 9,800円(税別)
詳細は→ http://bit.ly/1QMEdZd

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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第367回 MADE IN SWEDEN “Snakes In The Hole”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

MADE IN SWEDEN – “Snake In The Hole”
1969 SWEDEN-SONET SLP2504
(Psychedelic Progressive Jazz Rock)

RARE度:★★★★★★

Member :
Georg Wadenius(g,key,vo), Bo Haggstrom(b),
Tommy Borgudd(ds), Svend Asmussen(violin)

Side (A)
1. Snake In The Hole
2. Lay Lady Lay
3. Discotheque People

Side (B)
1. Give Me Whisky
2. Kristallen Den Grymma
3. Little Cloud
4. Big Cloud

ケブネカイゼ(KEBNEKAISE)と双頭をなすスウェーデンを代表するプログレシッヴ・ロック・グループ。

北欧という中でも68年にデビューしたこのグループは、この2ndアルバムで一気にその才能が開花。プログレというには大人っぽすぎ、サイケというには整合感があり、ジャズほどBGMにもならない、そんな不思議な音楽性です。

北欧というとノーベンバー(NOVEMBER)やアント・マリー(AUNT MARY)等のもっともっと力いっぱいな
全力疾走系のハード・ロック風のグループの方が有名で、このあたりになってくるとかなりなマニア・ライクな
気もします。

そこにもってきて、一度は手に取るのを躊躇してしまうジャケット!

真ん中で背中向けて座っている裸の人に少し緊張してしまうのですが、裏ジャケではこの彼女、こちらを向いてニッコリしてくれるので、少しリラックスできます(?)。一歩間違えれば下品になりかねないところですが、この大胆さが音楽性にも表れているのかもしれません。

なぜなら、いきなりA面の出だしからして「え?そうくる?」です。驚きです。決して「ハイッ、はじまります!」的にはならず、カウントを取る事もなく、なんとなく始まっていて、知らぬ間にその世界に引きづりこまれていた、まさに平田オリザさんの青年団のような世界で、これは3回そこら聴いただけではその真意は理解できないと思います。

2つのバンドが同時に違う進行で演奏しているようなA-1。なかなか経験したことのないリズム・チェンジです。演奏はサイケデリック・ジャズロック風・クロスオーバー・ヘヴィプログレといった(どんなんだ)色合いですが、もっと奥の方に本当の姿が隠れていそうです。 聴けば聴くほどにハマってしまう、麻薬(やったことないですが!)のような魅力に満ち溢れています。

そしてA-2はなんと、ディランのカバー!ディランの方はもっと荒々しく土っぽく乾いた感じなのに対し、このカバーはもっとウェットで煌きのある感じに仕上がっています。 非常にカラフルなプログレです。曲のアレンジも面白く、別の曲といってもいいくらいなオリジナリティーです。 燃えよドラゴンのミラーの中での戦いのような万華鏡的世界が広がります。

つづきA-3もまたカッコよく最高です。それでいながら曲は淡々と、粛々と。奥に見え隠れするベース・プレイが実は鼻血か。とにかくジャケそのままの不思議な世界が延々と続きます。モルト・ウィスキーが欲しくなってきます。

続くB面に移っても、ヘヴィー・ブルース・ロックをプログレ・アレンジ展開したようなこれまた万華鏡な世界が花開き、ここでもベースはのたうちまわります。B-2以降はジャズっぽくてテクニカルなナンバーで進行していきます。ヴァイオリンを入れて4人のクレジットとなっていますが、実質的にはバンドはトリオ編成で、ベースがブンブンいいっ放しのせいか、もっと分厚い編成に感じさせらるんですよね。

それにしても最初から最後まで、テクニカルに迫り、ジャズとブルースにプログレを非常にハイレベルなところでバランスよく融合させたような音楽は、音質や演奏力にこだわるファンも黙らせる凄みがあります。未だ、宗教とか民族とか、主義主張の違いを受け入れることができないで、我々はなんだかのたうちまわっている感じですが、すでに70年代ロックは、ジャンルを軽々と超えた融合を成し遂げていて、カッコよすぎです。

(2015.11.18)

こちらのレコード在庫にあります!

4901447 MADE IN SWEDEN/Snakes In A Hole 15,000円(税別)
詳細は→ http://bit.ly/1xxkc07
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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第366回 GOLIATH – “Same Title”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

GOLIATH – “Same Title”
1970 UK-CBS 64229
(Heavy Progressive Rock)

RARE度:★★★★

Member :
Joseph Rosbotham(flute,tenor), Malcolm Grundy(g),
Linda Rothwell(vo), John Williamson(b),Eric Eastman(ds)

Side (A)
1. Port And Lemon Lady
2. Festival Of Light
3. No More Trash
4. Hunters Song

Side (B)
1. Men
2. I Heard About A Friend
3. Prism
4. Emerge, Breath, Sunshine, Dandelion
5. Maajun

発表年は1970年と非常にオイシイ時期ど真ん中の割には私もようやく最近耳にする機会に恵まれた逸品で、70年代のブリティッシュ・ハード・ロック、プログレの中でも意外と知られていない作品かと思います。

構成としては女性ヴォーカルを前面にフィーチャーしたブリティッシュ・ロックの逸品で、そうなりますと真っ先に思い浮かぶのがアフィニティ(AFFINITY)ですが、そんなプログレッシヴでシンフォニックな感じとは全く違なり、かなりアシッドでブルージーなハード・ロックです。タイプ的にはキャロル・グライムス&デリバリー(CAROL GRIMES & DELIVERY)なんかによく似た感じで、もっと言えば、スゥイートスラッグが女性ヴォーカルを担いだとでも申しましょうか。

不思議なギターリフと踊るフルートで灼熱の砂漠のような暑さが全体を支配しつつ、サックスのジャズっぽさが都会的で、もしかしたらデリバリーを上回っているかもしれません。

裏ジャケットのメンバーの写真を見る限り、確かにこんな音出しそう!という感じでこれまた渋い。

特にヴォーカルの女性ヴォーカルのリンダ・ロズウェル嬢が、かなりそれっぽい感じで、年下だとしてもなんか話すと怒られそうなそんな威厳と怖さで迫力満点。それに負けじと思ってか(思ってないと思いますが)、バックを支えるミュージシャンもやたら怖そうな風貌です。これぞ裏ジャケですね~。裏ジャケはこうでなくてはいけません。

さて、その内容ですが、A面の1曲目に針を落とすや否や「えっ?」となります。

CBSから出ていることもあって、音質もいいし、なんなんだこのかっこよさは!?針を置いたまま席に戻らずその場で腕組みをして聴いてしまう、そんなイントロです。

横すべりしながら流れる静かな気だるいギターの出だし、これはA級の音です。というのもつかの間、気だるさも一瞬で、いぶし銀女性ヴォーカルの渋い渋い歌声。そしてかっこいいブレイクと、動脈をのぼりあがってくるようなベースのうねり。 鳥肌も自然に出てきます。そこにフルートも乱入してきて、一気呵成です。

曲が終わった瞬間、隣の人と目を合わせて、「お~っ!」って思わず乾杯しちゃうそんな気分になります。

よく練られた曲に、演奏もかなりの腕達者で、 若者が息せき切って聴くハード・ロックではなく、4~50代のオッサンが「なかなかやるやないけ」と言いながら聴く、そんなハード・ロックではないでしょうか?イヤ、当時の若者はすでに最近の4~50代なみの渋さだったのか!?

もしかしたら当時は渋すぎて、まだ社会がついていっていなかったのかもしれません。どの曲も本当によくできています。とにかくかっこいい。

さらに裏面に移って、B-2の 哀愁のフルートとやさしげなメロディ・ライン、いわゆる、「ハード・ロック・バンドのバラッドに名曲多し」の格言(?)通りの内容。バラッドという程のバラッドではないですが、なかなか郷愁を誘う名曲だと思います。

そして、何と申し上げるべきか、この女性ヴォーカルの声のよさがいちばん伝わるのがB-4だと思います。よく歌い上げてくれます。歌メロも最高。最後に持ってくる一曲も往年のブリティッシュ・ハード勢もなぎ倒すくらいのレベルです。フルートとギターのユニゾンが延々と奏でるのですが、そこにリンダ(急に呼び捨て!?)がコーラスで時折参加。だんだん鎖を巻きながら上昇していくような素晴らしい感覚に包まれます。

アルバム全体の曲構成もよく、映画のサントラ的な要素も十分に含み、ドラマティックで渋くて、クールです。

そして、話は戻りますが、そういう意味でも、この裏ジャケ。

映画で殺し合いをしている集団が町の裏にいったん逃げてきた、そんなシーンなんて想像力を掻き立てられ、表ジャケの意味深な吸い殻から始まり、サウンドと合わせて、何となく全体的にアングラでミステリアスでオシャレな映画が出来そう!そんなアルバムかと思います。

一億層活躍社会というのが目標のようですが、ジャケ、曲、演奏もヴォーカルも全部が大活躍の一枚をお手本に!?

(2015.10.15)

こちらのレコード在庫にあります!

4800941 GOLIATH/Same 58,000円(税別)
詳細は→ http://bit.ly/1MyMn4l

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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第365回 HATE “Hate Kills”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

HATE – “Hate kills”
1970 UK-FAMOUS SFMA5752
(Folk Psychedelic)

RARE度:★★★★

Member :
Rab Munro(vo), Neil Bruce(key,vo), Jim Lacey(g),
Lenny Graham(b,vo), Allan Pratt(ds)

Side (A)
1. Come Along
2. Corridors
3. My Life
4. Seems Like Any Fool
5. Time For Change

Side (B)
1. It’s Alright To Run
2. She Needs Me
3. Never Love Again
4. Realisation
5. I’m Moving Down

HATEとはなかなか思い切ったネーミングです。

このグループが好きな人は、「I Like Hate.」とか言っていたのでしょうか。

そんな事はおいておいて。

もう何年もブリティッシュ・ハード・ロックを聴いていて、しかも年代やジャンルも絞って聴いているのに、まだ新たに出会うものがあり、ブリティッシュ・ハード・ロックの奥の深さに驚かされることは、少なくないのですが、このアルバムもそんな一枚です、1970年に出ていたこの隠れた名作です。

なんとなくやりそうで、はずしそうな、小橋健太の決め技前のような握りこぶしジャケットは微妙ですが、音は正統派のブリティッシュ・ハード・ロックです。

A-1ののっけからの控え目はオルガンとドライで男気あるヴォーカルが出てきて、「ジャケット写真は、あなたでしたか?」 と思わずツッコミたくなります。続くコーラスがまた力強い。海の男というより山の男のコーラスです、これは。
そしてサビのコーラスのバックで鳴る、しわがれたギターに至っては、恐らく20代では絶対楽しめない、大人のロックだと思います。

そしてよくよく聴いていて、このヴォーカルは??そうです。スプゥーキー・トゥースのヴォーカルそっくりのあの力学です。

後半のサビのリフレインではブラスも入り華やかになってくるものの、アメリカのようなピザを顔にぶつけるようなチープなパーティーっぽくならないのが、こういうのは本当にできそうでできない、正しく名店のさりげないチャーハンです。

もうA-1だけで、ここまで楽しんでしまえるわけですが、 続くA-2はアップテンポながらも全体の楽器のバランスもよく、そして男の握りこぶしコーラスがまたもや活躍。ちょっとヒープ風味でしょうか。さびたギターが絶妙な均衡を保ちます。20mくらい向こうで演奏しているようなオルガンも奥ゆかしくていいですね。

そして曲によってはアコースティックも入っているから侮れません。 初期のハンブル・パイ(HUMBLE PIE)のような雰囲気も漂います。

B-2なんかは割とプログレ的でファジー・ダック(FUZZY DUCK)みたいな展開をしたりもします。アメリカのスワンプの埃は多少はかかり気味ですが、軽く振り払って・・という感じでずっと英国臭です。

いずれにしてもこのグループの特徴は骨太のヴォーカルでしょうか。株主総会で質問しても、マイク係が到着する前に質問始めてしまう、みたいなくらい地声が大きいのです。

そして、全体的にはどれも捨て曲がなく、非常にバランス、まとまり、適度な体重のオトナな名盤です。まだな人、多いと思います。ナショナル・ヘッド・バンド(NATIONAL HEAD BAND)のファン(いるんかいな)の方には強く推薦します!?

唯一、難点を申し上げれば、全体的にミドルテンポで渋めにくるサウンドには、バンド名とアルバム・タイトルほどの尖ったインパクトがなく、バンド名、タイトル、ジャケからの印象とは異なるかな、、、というところで当時のヤング(?)は、針を落として「違うじゃん」と思ってしまったのかもしれません。故に、紹介される機会も少なくここまできたのではなかろうか…というのは勝手な推測ですが。

色々聴いてきたからこそ、耳にしてほくそ笑むことができる一枚かもしれません。

人生に無駄なし!レコードに無駄なし!経験を踏まえて大人の音楽を楽しめる喜びもまた70年代を聴く醍醐味です。

(2015.08.13)

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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第364回 Rodriguez – “Cold Fact”

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Rodriguez – “Cold Fact”
1970 SOUTH AFRICA-SUSSEX SXBS7000
(Folk Psychedelic)

RARE度:★★★

Member :
Sixto Diaz Rodriguez(vo,g)

Side (A)
1. Sugar Man
2. Only Good For Conversation
3. Crucify Your Mind
4. This Is Not A Song, It’s Am Outburst: or, The Establishment Blues
5. Hate Street Dialogue
6. Forget It

Side (B)
1. Inner City Blues
2. I Wonder
3. Jane S.Piddy
4. Gommorah (A Nursery Rhysme)
5. Rich Folks Hoax
6. Like Janis

70年にデトロイトより発売された先鋭的なサイケデリック・フォークです。

当時ロドリゲスは2枚のアルバムを発表するも、鳴かず飛ばずに終わり、彼の短い音楽人生は幕を閉じたと思われたが・・。
なぜかその彼のアルバムが南アフリカにわたり、カセットテープにダビングされたテープが出回り、南アフリカのミュージック・シーンではその名を知らぬ者はいないと言われる程のスターに。そしてついには南アフリカでもこのアルバムはリリースされます。

ロドリゲスは死んだという噂も流れていましたが、インターネットの普及によって、90年代に南アフリカのファンたちがとうとう本人を探し出しコンタクト。そしてついには彼を南アに招待し、コンサートまで開催してしまいます。

と、ここまでが2012年に公開された映画をみて私が初めて知ったストーリーです。映画のタイトルは 「シュガーマン 奇跡に愛された男」。 「Searching For Sugar Man」という 原題の方が、この作品をうまく物語っていると思いますね。

さて、その内容の方ですが、全体的に語り掛ける口調の曲とヴォーカルなので、「ディランのよう」という評価が多い中、「むしろドノバン」という声に私も賛成です。所謂クスリをやっているアメリカのヒッピーたちが好みそうなサウンドでありながら、ただルーラルな中になんとも言えぬ郷愁感と深みがあり、それでいて、スワンピーでもなくて、ちょっとポップさがあるので、決して重苦しくならないのが特徴で、アメリカのSSWとは一線を画すところなのかもしれません。

A-1から名曲です。映画のタイトルにもなりましたが、海沿いの山道を夕日を浴びながらドライブしながら聴くには最高の曲で、歌詞も、もうまったくそのものだと思いますが、それよりもこの微妙なドライ感が素晴らしく、それでいてディラン程はカラカラには鳴らず、ドリミィ・サイケの味付けも持っているので、ブリティッシュ・フォークがお好きな方にも十分通用するのではないでしょうか。

エレクトリック・ギターが歪むヘヴィな展開のA2から続くA3はカラカラの心に高山の岩清水がじわじわしみってくるような、なんともいえない感動があったりして、どんどん、ロドリゲスの世界へと引き込まれます。B-2に次のハイライト、『I Wonder』が待っていますね。”I wonder” と繰り返しのフレーズが効きます。

多少オーケストラも入っていますが、基本的には最小限の音数がベースで、それでいながら聴くもののイマジネーションを最大限に広げてくれるアルバムです。聴けば聴くほどに味わいが出てくるスルメ系です。

埋もれた名盤であることは確かだとしても、しかし、何故、南ア?

この疑問は平和ボケしているワタシのような日本人には難しいのですが、このアルバムが海を越えた当時が「アパルトヘイト」真っ盛りの南アであった事も一つのポイントでしょうか。「コールド・ファクト」というアルバムタイトルも然り。

社会はちょっと不穏な感じですが、政治的な影響を受けず単純に音楽が楽しめる社会がずっと続くことを願うばかりです。

もちろん映画を観なくても存分に楽しめるアルバムではありますが、映画自体も構成がしっかりしていて、スリル満点でとても面白いので一見の価値は大いにありますし、このアルバムの曲がふんだんに散りばめられてもいますすので、観てから聴くか、聴いてから観るか、そんなお楽しみも是非。

(2015.07.10)

こちらのレコード、続く2ndも入荷になっています。(新着!)合わせて如何でしょうか?!

RODRIGUEZ/Cold Fact
詳細は→ http://bit.ly/1v1XvAf
RODRIGUEZ/Coming From Reality
詳細は→ http://bit.ly/1MhuZOt

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メールマガジン『ロックの王道を行け!』:第363回 IL VOLO “Same Title”

【メーマガジン ロックの王道を行け!】

IL VOLO – “Same Title”
1974 ITALY-NUMERO UNO DZSLN55667
(Progressive Rock)

RARE度:★★★

Member :
Vince Tempera(key), Alberto Radius(g,vo), Ol Ov(b),
Mario Lavezzi(g), Gianni Dall’aglio(ds,vo),
Gabriele Lorenzi(key)

Side (A)
1. Come Una Zanzara
2. La Mia Rivoluzione
3. Il Calore Umano
4. Il Canto Della Preistoria

Side (B)
1. I Primi Repiri
2. La Canzone Del Nostro Tempo
3. Sonno
4. Sinfoniua Delle Scarpe Da Tennis

英語ではTHE FLIGHT、イタリア語ではイル・ヴォーロ(IL VOLO)だそうです。

所謂熱き血潮が煮えたぎるドタバタ、劇的、巻き舌系のイタリアン・プログレとは一線を画すもので、ヌメロ・ウーノ・レーベルらしい美しくも哀しく、それでいてテクニカル、そんな一枚です。

このレーベルの雄、フォルムラ・トレ(FORMULA 3)のメンバーが結成しただけあって、内容もトレに近く、3作目あたりのウェットで瑞々しく、それでいて高原の朝露のような静けさがじわじわくる様は好きな人にはたまらない内容といえます。むしろトレの1stなんかよりはもっとトレっぽい感じです。

A-1の静かな出だしに興奮が抑えきれませんが、キーボードでぐわっときます。

続く印象的なベースのうねりに乗って曲は進行していき、遠くで歌うヴォーカルも加わり、サビでは一気に昇り詰めます。まさしく霧の山並みの朝。それがやや曇ったまま昼をすぎ、そしていつしか知らない間に夕方を迎える…。そんな曲ですね。雨の中聴いたら最高でしょう。

A-2の旋律も美しく、 歌ごごろを大切にしながらも、ギターやオルガンの畳み掛けはテクニカルで、それでいてまったく忙しさを感じさせない。深いギター演奏です。

そしてA-3。この遠いコーラスと丸みのあるリズムはどうですか!?こんなの誰にもマネできないと思います。 一聴すると普通のバラッドに聴こえてしまうかもしれません。でも染みわたります。 太くて丸いエレクトリック・ギターにアコースティックがかぶさってくるところは流石の一言。

ゆるやかなB-1を流れてB-2へと続く流れも、テクニカル・ジャズ・ロックとでもいうべき緊張感あふれる展開をします。 …と思いきや、突然目の前が広がったような静の中へ。これぞイタリアン・ロックの真骨頂です。が、油断していると一転、テクニカルな渦へと落ち込んで行き、もうこれは完全にジャズ・ロックです。 突然崖から落ちるようにエンディング。かっちょいい~!!ちょっとニュートロルズのような感しもします。

最後は秋風に吹かれてさわやかに下山していくようなそんな曲。いくらでも聴いていられます。

他の熱いイタリアのバンドに比べると、派手さに欠けて全体的に地味な感じは否めませんが、テクニカルな演奏とメロディアスな流れが繰り出す、不思議に空中を漂っている感じは、バンド名・アルバムタイトル通りとなるのでしょう。決してジェット機ではない、この流れが最高です!忙しく時間に追われる日々を反省して、ちょっとゆったり行きたい・・・無理かな。

一度見たら忘れられないジャケットも秀逸ですね。

(2015.6.10)

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IL VOLO/Same
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IL VOLO/Essere O Non Essere
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